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海藻からのバイオエタノール製造の進展

海藻からのバイオエタノール製造の進展

微細藻類についてバイオオイル生産の研究は盛んであるが、海藻のバイオマスエネルギー利用は進んでいない。その理由は、陸上の作物に含まれる多糖類からバイオエタノールを生成することは比較的容易であるが、海藻の多糖類は陸上植物のセルロースやデンプンとは異なっており、エタノール発酵が困難なためである。

大型海藻は、表1に示すように緑藻、褐藻、紅藻に分けられる。この中で、コンブやワカメ、ホンダワラなどが属する褐藻の資源量が多い。しかし褐藻は、セルロースやデンプンを多く含む緑藻と異なり、セルロース以外に、マンニトール、ラミナラン、アルギン酸など、複雑な成分を含んでおり、セルロース以外の部分はエタノール発酵せずに残渣となって残る。

このような状況にあって2015年10月に京都大学から、褐藻の一種であるクロメに対して、遺伝子操作を行った酵母を使って、これまで分解できなかったアルギン酸をエタノールに変える技術が報告された。また、2015年11月には、三重大学からは海藻を好んで食べるアワビの消化管から、褐藻類のセルロース、ヘミセルロース、アルギン酸、マンニトールを分解する新種の細菌を発見したことが報告された。この細菌は、トウモロコシやサトウキビなどからのバイオエタノール生産にも使用できる可能性がある。

この2件は、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業(CREST)プロジェクトの成果であり、今後の実用化、規模拡大が期待される。(2015年12月)


表1  大型藻類の種類

  具体例 主な多糖類
緑藻類 アオサ、アオノリ セルロース、デンプン
褐藻類 コンブ、ワカメ、モズク、クロメ マンニトール、ラミナラン、アルギン酸、フコイダン
紅藻類 アサクサノリ、テングサ カラギーナン、寒天

出典:
笹川平和財団海洋政策研究所ニュースレター
http://www.sof.or.jp/jp/news/251-300/265_2.php
バイオマスハンドブック第2版を基に作成

 

参考資料:
• 笹川平和財団海洋政策研究所ニュースレター
http://www.sof.or.jp/jp/news/251-300/265_2.php
バイオマスハンドブック第2版
• 科学技術振興機構HP
http://www.jst.go.jp/presto/bioenergy/scholar/crest2.html#t01
• 伊勢志摩経済新聞
http://iseshima.keizai.biz/headline/2437/
• 日本経済新聞2015年10月19日版
• 海藻から高効率でバイオエタノール製造技術を開発(トピックス2010年9月)
http://www.asiabiomass.jp/topics/1009_02.html

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