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国立公園内の地熱発電の規制緩和が前進

国立公園内の地熱発電の規制緩和が前進

日本は世界3位の地熱資源国であり、地熱発電は再生可能エネルギーの中では、天候に左右されずに、年間を通じて安定した 電気を供給することが可能なことから導入拡大が期待されている。しかしながら、地熱発電の適地が国立公園や国定公園の中にあるため、設置が認められない状況が続いていた。2012年3月の規制緩和では、国立・国定公園内の普通地区、第2種・第3種特別地区については地熱発電の建設が条件付きで認められた。表1にFIT創設(2012.7)後に稼働した地熱発電所を示しているが、七味温泉ホテル渓山亭バイナリー発電所以外は、国立・国定公園外であり、国立・国定公園内では導入は進んでいない。

これに対し、環境省では、2015年3月に「国立・国定公園内の地熱開発に係る優良事例形成の円滑化に関する検討会」を設置し検討を行ってきたが、その結果に基づき2015年10月に新たに規制を緩和した(表2)。まず、発電設備の建屋の高さが13m以下に制限されていたものを、景観に配慮する条件付きで緩和した。これにより、規模の大きな発電設備が設置できるようになり、採算性が向上することが期待できる。また、第1種特別地区では認められていなかった蒸気取り出し用の井戸の掘削については、地表に影響がないことを条件に他の地域からの傾斜掘りが認められることになった。

2015年3月に資源エネルギー庁が示した、2030年における地熱発電導入見込み量(表3)は、大規模開発を例にとると、現行規制下では約32万kWであるが、規制緩和が行われた場合は約61万kWに増加することが示されている。規制緩和が進むことによって地熱発電の導入が拡大することが期待される。(2015年11月)

 

表1  FIT導入(2012.7)後に稼働した地熱発電所(2013年1月〜2015年2月)

発電所名 所在地 認定出力
(kW)
運転開始
瀬戸内自然エネルギー発電所 大分県別府市 48 2013.1
五湯苑地熱発電所 大分県別府市 92 2014.1
湯村温泉観光交流センター薬師湯温泉
バイナリー発電
兵庫県新温泉町 40 2014.4
小国まつや発電所 熊本県小国町 50 2014.4
七味温泉ホテル渓山亭バイナリー発電所 長野県高山村 20 2014.4
タタラ第一発電所 大分県別府市 49 2014.7
亀の井発電所 大分県別府市 11 2014.11
コスモテック別府バイナリー発電所 大分県別府市 500 2014.11
メディポリス指宿発電所 鹿児島県指宿市 1410 2015.2

出典:長期エネルギー需給見通し小委員会資料より作成

 

表2  地熱発電に対する規制緩和状況

国立・国定公園地種区分 2012年3月規制緩和 2015年10月規制緩和
普通地区
第2種・第3種特別地区
第1種特別地区 × ○(傾斜掘削による)
特別保護地区 × ×
備考 発電所建屋の高さ制限13m以下 発電所建屋の高さ制限解除

出典:環境省プレスリリースから作成

 

表3  2030年における地熱発電導入見込み量(平成27年3月 資源エネルギー庁)

  大規模開発について、現行の環境規制の下での開発を見込み、中・小規模開発について、現在把握されている案件の開発を見込む場合 大規模開発について、現行の環境規制の下での開発を見込み、中・小規模開発について、今後も開発が順調に進行すると想定した場合 大規模開発について、環境規制の緩和を想定した開発を見込み、中・小規模開発について、今後も開発が順調に進行すると想定した場合
大規模開発 約32万kW 約32万kW 約61万kW
中・小規模開発 約6万kW 約24万kW 約24万kW
既存発電所 約52万kW 約52万kW 約52万kW
合計 約90万kW(63億kWh) 約108万kW(76億kWh) 約140万kW(98億kWh)

出典:長期エネルギー需給見通し小委員会資料

 

参考資料:
• 長期エネルギー需給見通し小委員会資料
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/004/pdf/004_06.pdf
• 環境省ホームページ
http://www.env.go.jp/nature/geothermal_np/index.html
• 環境省プレスリリース
http://www.env.go.jp/press/101503.html

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