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圧縮空気による蓄電で再生可能エネルギーの出力変動に対応

圧縮空気による蓄電で再生可能エネルギーの出力変動に対応

太陽光発電や風力発電は、天候の変化によって発電量が変動するため、大量に導入された場合、電力系統の安定性を確保する対策が必要になる。その一つの方法として、リチウムイオン電池などを用いた大型蓄電池システムが開発され、実証試験が行われている。

蓄電池とは異なる手法として、2015年6月19日に㈱神戸製鋼所、早稲田大学スマート社会技術融合研究機構、エネルギー総合工学研究所から、「断熱圧縮空気蓄電システム」の開発を行うことが発表された。このシステムは、再生可能エネルギーで発電された電力で圧縮機を駆動し、エネルギーを圧縮空気と熱として貯蔵する。そして電力が必要になった場合には、貯蔵した圧縮空気の圧力と熱を使い、スクリュー発電機で発電する。このシステムは、スクリュー圧縮機、スクリュータービン発電機、熱貯蔵タンク、空気貯蔵タンクからなり、2016年度にMWクラスの実証試験を開始し、2017年度以降の実証試験の継続と商品化を計画している。

圧縮空気としてエネルギーを貯蔵する試みは、国内では「圧縮空気エネルギー貯蔵ガスタービン(CAES-G/T)」として、1998〜2001年に北海道砂川町の施設で行なわれている。これは資源エネルギー庁の委託で、新エネルギー財団が北海道電力㈱、電源開発㈱、IHI㈱と共に建設、実証運転を行なったものである。このシステムでは夜間電力など利用して地中に貯蔵した圧縮空気を、再生時にはガスタービンに吹き込んでタービンを直接駆動すると共に、燃焼用空気としても利用して発電機を回して発電するものであった。

表1に2つのシステムの比較を示す。新しいシステムは、制御ソフトウエアの開発は必要であるが、汎用機器の組み合わせたシステムで燃料も不要である。再生可能エネルギーの導入に伴い、以前検討されたエネルギー貯蔵技術が見直され、現在の技術で実用化される動きがある。(2015年8月)

 

表1  「断熱圧縮空気蓄電システム」と「圧縮空気エネルギー貯蔵ガスタービン(CAES-G/T)」の比較

  断熱圧縮空気蓄電システム 圧縮空気エネルギー貯蔵ガスタービン
(CAES-G/T)
実施時期 2015〜2017年(計画) 1998〜2001年
目的 再生可能エネルギー出力変動対応 深夜電力貯蔵によるピークカット
事業者 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
㈱神戸製鋼所、早稲田大学スマート社会技術融合研究機構、エネルギー総合工学研究所
新エネルギー財団(NEF)
北海道電力㈱、電源開発㈱、IHI㈱
圧縮機 スクリュー圧縮機 レシプロ圧縮機
発電機 スクリュータービン発電機 ガスタービン発電機
エネルギー貯蔵 熱貯蔵タンク
空気貯蔵タンク
地下空洞貯蔵(旧砂川炭鉱坑道利用)
発電出力 MWクラス(計画) 2MW

出典:㈱神戸製鋼所プレスリリース
http://www.kobelco.co.jp/releases/2015/1191385_14507.html
圧縮空気エネルギー貯蔵ガスタービン(CAES-G/T)の開発
石川島播磨技報Vol.43 No.3(2003-3)
を基に作成

 

参考資料:
• 早稲田大学プレスリリース
https://www.waseda.jp/top/news/28684
圧縮空気エネルギー貯蔵ガスタービン(CAES-G/T)の開発
石川島播磨技報Vol.43 No.3(2003-3)

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