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草木からのバイオエタノール製造(タイ)

草木からのバイオエタノール製造(タイ)

2011年のタイ国におけるバイオエタノールの製造プラント数は19であり、製造能力は307 万リットル/日である。原料として、糖蜜(sugarcane)、廃糖蜜(molasses)、キャッサバ(cassava)が用いられている。これらはいずれも食糧であり、「食糧不足の問題」から、非食糧資源からのバイオエタノール製造研究が、タイで進んでいる。

最も研究が進んでいるのは、草木(forage grass とvetiver grass)の木質バイオマスである。木材や稲わら等の木質バイオマスは、セルロース(25〜40%)、ヘミセルロース(25〜50%)、リグニン(10〜30%)から構成されている。タイで研究が進められている草木(forage grass とvetiver grass)は、セルロースが32〜38%、ヘミセルロースが31〜42%、リグニンが3〜6%で、リグニンが少ないことが特徴である。木質バイオマスは、糖化酵素により糖に変換され、更に酵母によりバイオエタノールが得られる。セルロースからはC6糖(炭素数6の糖)が、ヘミセルロースからはC5糖(炭素数5の糖)とC6糖が製造され、これら糖からバイオエタノールが製造される。リグニンはバイオエタノールに変換されない。この事から、リグニンの少ない草木(forage grass とvetiver grass)からは、高い収率でバイオエタノールが製造できる。

製造法は、同時糖化並行発酵(SSCF:simultaneous saccharification and cofermentation)と呼ばれている技術で、糖化と発酵が、同一容器中で同時に行われる。草木を原料とした、1年間・1ヘクタールあたりのバイオエタノールの生産量は2,721 L/ha/年である。一方、糖蜜からのバイオエタノール生産量は6,210 L/ha/年、キャサバからは7,604 L/ha/年である。食糧である糖蜜、キャッサバの方がバイオエタノールの生産性は高いが、食糧問題を考慮すると、今後は、非食糧である草木の方が原料として有望である。

バイオエタノールに適した草木の研究も進んでいる。欧州委員会(European Commission)は、2012年11月に「デンマーク、タイ、米国の研究チームが、ヘミセルロースの主成分であるキシラン(Xylan)量の少ない遺伝子組換植物の製造に成功した」と発表した。セルロースと比較して、ヘミセルロースはバイオエタノールに変換されにくく、ヘミセルロースの少ない植物はバイオエタノール原料として適している。今回の成果は、木質バイオマスからのバイオエタノール製造の実用化に展望を開くものであり、大きい期待が持てる。

 

図 木質バイオマス(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)からのバイオエタノール製造プロセス
図 木質バイオマス(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)からのバイオエタノール製造プロセス

 

図 バイオエタノール生産量(1へクタール、1年間あたり)
図 バイオエタノール生産量(1へクタール、1年間あたり)
出典:http://www.hindawi.com/journals/biomed/2012/303748/

 

参考:
 Thailand Biofuels Annual 2012
(http://gain.fas.usda.gov/Recent%20GAIN%20Publications/Biofuels%20Annual_Bangkok_Thailand_6-29-2012.pdf#search='Thailand+biofuel')
 The Potential of Cellulosic Ethanol Production from Grasses in Thailand
(http://www.hindawi.com/journals/biomed/2012/303748/)
http://cordis.europa.eu/fetch?CALLER=EN_NEWS&ACTION=D&RCN=35285

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