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ハイブリッド増殖による藻の大量培養実証試験 開始

ハイブリッド増殖による藻の大量培養実証試験 開始

筑波大学、茨城県、つくば市は、2011年12月に、国から「つくば国際戦略総合特別区域」としての指定を受けた。「国際戦略総合特別区域」 は、国際競争力のある産業を育てる目的で創設され、つくばにおいて3つのプロジェクトが開始した。プロジェクトの推進には、規制緩和、税制、金融、財政上の特例措置を受けることができる。

「藻類バイオマスエネルギーの実用化事業」は、このプロジェクトの一つで、藻類からオイルやスクアレンという高価値の物質(化粧品)を生産し、新たな産業の創出を目指す。藻類のバイオ燃料原料としての最大の特徴は、その生産性の高さにある。とうもろこしが年間に172リットル/ヘクタールの油が取れるのに対し、藻類は数万から10万リットル/ヘクタール以上の大量生産が見込める。仮に、バイオ燃料で世界の石油需要をすべて賄う場合、藻類だと世界の耕作面積の数%で済む。

実用化には、屋外農地での大量培養技術の確立が不可欠である。農地は、つくば市内の耕作放置地(2ha)を活用する計画で、これには農地転用に係る特例措置を提案し、2012年から実証試験を開始する。2020年までに、年間14,000トンの炭化水素オイルを生産する技術を確立する。藻は、ボトリオコッカス(Botryococcus)とオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)の2種類を用い、「ハイブリッド増殖」により増殖させる。

ボトリオコッカスは、光合成で成長し増殖する。これに対し、オーランチオキトリウムは光合成を行わず、有機物を摂取し増殖するので、有機物があれば夜間でも成長し続ける。「ハイブリッド増殖」は、このタイプの異なる2つの藻を組み合わせて、単独の場合よりも、更にオイルの生産性を高めることができる。ボトリオコッカスが増殖過程で体外に分泌する糖分およびオイルを抽出した後の残渣が、オーランチオキトリウムのえさとして摂取し増殖する。

この「ハイブリッド増殖」は筑波大の研究グループ独自の発想によるもので、研究グループは、「大規模生産により、160円/リットルのオイルが生産可能」としている。


表  各種作物・微細藻類のオイル生産能力

作物・藻類 オイル生産量
(L/ha/年)
世界の石油需要を満たすのに必要な面積(100万ha) 地球上の耕地面積に対する割合
(倍)
とうもろこし 172 28,343 14.3
菜種 1,190 4097 2.1
ジャトロファ 1,892 2577 1.3
パーム 5,950 819 0.4
微細藻類*1 136,900 36 0.02
微細藻類*2 58,700 83 0.04

微細藻類*1 は藻の70%がオイル
微細藻類*2 は藻の30%がオイル
出典:筑波大学 彼谷教授研究室ホームページ
(http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~makoto/)

 

図 各種作物・微細藻類のオイル生産能力
図  各種作物・微細藻類のオイル生産能力

 

参考:
• つくば国際戦略総合特区ホームページ
(http://www.tsukuba-sogotokku.jp/)
(http://www.tsukuba-sogotokku.jp/project3/)
• 筑波大学 彼谷教授研究室ホームページ
(http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~makoto/02project/index.html)

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