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下水汚泥から高純度水素を製造

下水汚泥から高純度水素を製造

日本の家庭や工場が排出した汚水は下水処理場で浄化されるが、処理した残渣である「下水汚泥」は、2008年度は223万トン(乾燥ベース)と膨大な量であった。この「下水汚泥」は、現在、脱水(16万トン)、焼却(156万トン)、溶融(21万トン)、コンポスト化(24万トン)、乾燥(6万トン)の減量化によって処理されている。しかし今後は、循環型社会への転換のために、消化、炭化、コンポスト化、りん回収し資源・エネルギーとして活用・再生するシステムに転換することが求められている。

この下水汚泥から、低コストで高純度(89.4%)の水素ガスを製造する技術を、東北大学(齋藤文良教授)が開発した。齋藤教授のグループは以前から、木質バイオマス(セルロース)の水素製造を研究しており、98%の高純度水素の製造に成功している。今回は、この技術を更に進め、下水汚泥にも適用させた。

稲わら、印刷用紙、コーヒー滓、杉材の木質バイオマス等のバイオマス原料に無機粉体の水酸化カルシウム:Ca(OH)2、水酸化ニッケル:Ni(OH)2を混合して乾式粉砕した後、非酸化雰囲気で400℃で加熱すると、木質バイオマス中のセルロースが無機粉体と反応して、水素が発生し炭酸カルシウムCaCO3が残る。

今回の下水汚泥から水素は、含水率80%の下水汚泥と無機粉体を混合後、600度℃程度で加熱するだけで、高純度の水素が得られる。木質バイオマスからの水素製造と比較し、乾燥、粉砕工程が不要で、水素ガス製造コストが大幅に下げることができる。下水汚泥の処理コストの低減と、安価に水素が製造できるという両面から、画期的な技術で大きい期待が寄せられている。

 

図 下水汚泥の減量化から資源・エネルギーとしての活用・再生に転換
図  下水汚泥の減量化から資源・エネルギーとしての活用・再生に転換
出典: 国土交通省 下水道部 ホームページ
(http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/crd_sewerage_tk_000124.html)

 

図 木質バイオマスからの水素製造
図  木質バイオマスからの水素製造
出典:「木質系バイオマスのガス化と高純度水素製造」
東北大学多元物質科学研究所素材工学研究彙報(66巻、第1,2号、44ページ、2011年)

 

図 下水汚泥からの水素製造
図  下水汚泥からの水素製造

 

参考:
• 財団法人 日本下水道協会 ホームページ
  (http://www.jswa.jp/data-room/data.html)
• 国土交通省 下水道部 ホームページ
  (http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/crd_sewerage_tk_000124.html)
• 東北大学 プレスリリース
  http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2011/11/60090.html

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