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食糧供給と両立できるバイオエタノール生産

食糧供給と両立できるバイオエタノール生産

2010年8月、日本の農林水産省は、「バイオマス活用推進基本法(案)」を公表した。この中で、2020年の目標バイオマス利用率を設定している。現在、利用率が高いのは家畜排泄物90%、黒液100%、製材工場等材95%、建設発生木材の90%である。これに対して利用率が低いのは林地残材の0%でほとんど利用されておらず、食品廃棄物はわずか27%である。2020年には利用率を林地残材は30%、食品廃棄物は40%まで高める。

日本政府は2010年6月に、バイオ燃料の利用について、「2020年に全国のガソリン消費量の3%(180万キロリットルに相当)以上の導入を目指す」との方針を 打ち出した。現在、バイオエタノールは、サトウキビ、とうもろこし、米の食糧から生産されている。しかし将来は、食糧の安定供給の面から、食糧と競合しない草木系、木質系バイオマスからのバイオエタノール製造が必要になってくる。

稲わら、もみ殻等の農作物非食部は、日本では年間発生量が約1,400万トンあり、この内85%が堆肥、飼料、畜舎敷料、燃料、農地へのすき込みにマテリアル利用されている。農作物非食部を、エネルギー資源として利用する方法として、バイオエタノールの製造がある。

川崎重工蠅蓮2010年10月6日、「稲わらから、熱水式バイオエタノール製造技術により、バイオエタノールの製造に成功した」と発表した。2009年11月に、秋田県で日産200リットルのプラントを建設し、試験を行なってきた。「熱水式バイオエタノール製造技術」は、従来の糖化工程で用いる硫酸や酵素を使用しないために、製造コストが低減できる。 今後は2012年までに、1リットル当り40円以下/リットルの製造コスト削減を目標として、商用化に向けた実証試験を続ける。

これが実用化できれば、「稲」は、「米としての食糧利用」と、米を利用した後の「稲わら、もみ殻のエネルギー利用」の2つの利用が両立できる。このように、バイオマス資源を、「食糧利用」と「エネルギー利用」 に分けて多段階利用することによって、バイオマスを資源として無駄なく最大限に利用できる。


表 バイオマスの利用率(現在と2020年目標)

バイオマスの種類 発生量
(万トン)
現在の利用率
(%)
2020年
目標利用率
(%)
家畜排泄物 8,800 90 90
下水汚泥 7,800 77 85
黒液 1,400 100 100
廃棄紙 2,700 80 85
食品廃棄物 1,900 27 40
製材工場等残材 340 95 95
建設発生木材 410 90 95
農作物非食用部 1,400 85 90
林地残材 800 0 30
合計 25,550    

 

図 バイオマス年間発生量
図 バイオマス年間発生量

 

図 バイオマスの利用率(現在と2020年目標値)
図 バイオマスの利用率(現在と2020年目標値)

 

図 バイオマス(稲)の多段利用
図 バイオマス(稲)の多段利用

 

参考:
バイオマス活用推進基本法(案):
http://www.maff.go.jp/j/biomass/b_senmonka/03/index.html
川崎重工業螢廛譽好螢蝓璽

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