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シロアリによるバイオエタノール製造に弾み

シロアリによるバイオエタノール製造に弾み

地球温暖化対策の切り札としてバイオ燃料の利用に関心が高まっている。バイオ燃料であるバイオエタノールは発酵法で生産されており、主な原料農作物は、大きく分類して3つとなる。

  1. サトウキビ搾汁、ビート搾汁などの糖質物質
  2. トウモロコシ、サツマイモ、タピオカなどのデンプン質物質
  3. 林地残材、間伐材、建設廃材、稲わら、もみ殻などの木質系バイオマス

最も経済的な製造法は、サトウキビ搾汁などの糖質物質に含まれるグルコースを発酵させる方法で、製造プロセスが最も簡単である。この他に、デンプン物質を原料に用い、先ず糖化酵素で糖化を行いグルコースとし、次いでこのグルコースを発酵させてバイオエタノールとする方法がある。これら2つの方法は現在、実用化されている。

現在開発中のバイオエタノール製造方法として、食料と競合しない木質バイオマスを原料とする方法がある。草や木の木質系バイオマスは、セルロース、ヘミセルロース、リグニンが強固に結びついており、これらを分解する前処理技術が必要であるが、この前処理にコストがかかり実用化に至っていない。

前処理技術の一つである生物的分解(菌等の微生物で分解)に、注目すべき発表があった。家屋の木材を食い荒らす大害虫であるシロアリは、木材中のセルロースを糖質に分解する働きを腸内に持っていることが知られている。このシロアリを、長年研究を続けている理化学研究所は、2010年1月、「シロアリの腸内にいる微生物の中で、セルロースを分解する酵素(セルラーゼ)を網羅的に取得し、そのゲノム(遺伝子情報)を調べ、腸内で行なわれている高効率な糖化システムを明らかにした。」と発表した。シロアリの酵素遺伝子の中には、従来の酵素の5〜10倍もの活性があることも明らかになった。

シロアリは身の周りでは厄介者だが、自然界では倒木を分解する有益な昆虫で、自然界では全植物バイオマスの約20%はシロアリによって分解されていると言われている。バイオエタノール製造に、このシロアリを利用すれば、セルロースの前処理工程が省略でき、エネルギー効率の優れた低コストでバイオエタノールが得られる。シロアリ腸内での分解メカニズム解明が、シロアリを用いたバイオエタノールの製造技術に弾みがつくことに間違いない。


図 バイオエタノールの原料と製造プロセス
図 バイオエタノールの原料と製造プロセス


参考:理化学研究所ホームページ、日経プレスリリース 他

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