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バイオマスを短時間で高効率に電気、燃料、熱に利用

バイオマスを短時間で高効率に電気、燃料、熱に利用

バイオマスは、石油や石炭のような化石燃料と比較してエネルギー密度が低いために、効率良くエネルギーを得るために様々な技術が開発されている。その一つがバイオマスのガス化である。バイオマスの直接燃焼によるボイラー発電は、エネルギー効率はわずか数%であるが、ガス化によって得られる可燃ガスの発電では、20%と飛躍的に良くなる。更に、可燃ガスを原料として、メタノールなどの液体燃料も製造できる。可燃ガスの発電および液体燃料化は、既に実用化された技術がある。このように、可燃ガスが製造できれば、既存の高効率のエネルギー変換設備で、バイオマスが高効率にエネルギー回収できる。

清水建設株式会社は、2009年10月8日、「様々なバイオ系廃棄物を、短時間で効率良くエネルギーに換える、次世代エネルギー技術[ビル・バイオマスター]の実証運転を開始した」と発表した。本システムはNEDOの「地域バイオマス熱利用フィールドテスト事業」の支援を受け、清水建設株式会社の東京木工場に設置されたもので、バイオマスは1時間あたり30kg処理する能力がある。この技術はバイオマスをガス化し、このガスから電力とメタノールを作り、更に廃熱も利用する「ハイブリッド型」エネルギーシステムで以下の特徴があると発表されている。

  1. バイオマスとして、紙ごみ、廃木材、食品残渣及び農業副産物など、様々なバイオ系廃棄物を原料とすることができる。
  2. 電力とメタノール製造の設備は並列に配置し、電力とメタノールの製造比率は、事業施設のエネルギーニーズに合わせて自在に変えられる。
  3. ガス化およびメタノール製造に要する時間を大幅に短縮できる(発酵によるバイオエタノール生成が数日かかるの対し、本技術は一瞬で反応)。
  4. 一般的な工業用メタノールの合成は、圧力20-30MPa、温度250-400℃に対し、本技術は2MPa以下、210℃と低圧、低温で反応条件がマイルドである。
  5. プラントの体積は、これまでの数分の一以下と、大幅に小さい。ガス化装置、メタノール合成装置は、共にバス車両ほどの大きさでコンパクトである。

バイオマスは、化石エネルギーと比べて、少量でかつ分散している。このためバイオマスを高効率でエネルギー変換するには、様々なバイオマスが原料として利用でき、かつ小型で高効率のプラントが求められていた。これまでは、バイオマスをガス化し発電・熱回収するプラント、およびガス化し液体燃料を製造するプラントは単一装置としてあったが、このシステムは、発電・熱回収および液体燃料製造装置が並列化している。これによって、電力需要の多い昼間は発電し、夜間はメタノール製造し貯蔵する方法が考えられ、バイオマスが更に高効率でエネルギー利用できるようになる。


図 ビル・バイオマスターのフロー
図 ビル・バイオマスターのフロー


参考:清水建設株式会社ホームページ、電気新聞、日刊工業新聞、日刊建設工業新聞他

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