
エネルギー資源を持たないシンガポールでは、一次エネルギーの生産はほとんど無く100%輸入に頼っている。エネルギー減として利用しているのは石油と天燃ガスである。2008年のシンガポールの一次エネルギー供給量は、約1,950万トン(石油換算)で、その内、石油が64%を占めている。
シンガポールは、ヒューストン、ロッテルダムに次いで世界第3位の一大石油精製拠点でもある。産油地と消費地との中間に製油所を建設し、市場の需要に応じて製品を供給する中間地精製基地として、1960 年代に急速に発展した。原油を輸入して自国で精製し、船舶・航空機の燃料として供給している。最近では、インドネシア、マレーシアの委託精製の比重が高まっている。
フィンランドの石油会社Neste Oil Corpは、2010年10月6日に「シンガポールにおいて、パーム油を主原料とするバイオディーゼル 燃料の生産を間もなく開始する」と発表した。バイオディーゼル製造のプラントは、2008年前半に建設が開始され、年間80万トンの生産能力を持つ、世界最大級のバイオディーゼル製造工場である。
製造プロセスは、Neste Oil Corp が開発したNExBTL(Next Generation Biomass to Liquid Diesel)で、パーム油を水素と触媒を用いて分解して、酸素を含まないパラフィン(CnH2n+2)とする。建築費は5.5億ユーロ(約600億円)であった。建設されたのは、シンガポールの南西部に位置するTuas Industrial Zoneで、港湾、貯蔵等のインフラが既に整備されており、これらインフラは生産されたバイオディーゼルの物流に活用できる。
バイオディーゼル原料は、パーム油で隣国のマレーシア、インドネシアから調達する。シンガポールで製造されたバイオデーゼルはEU、北米に輸出され、将来は日本や韓国への供給も視野に入れている。
表 シンガポールの一次エネルギー供給量 2008年(単位 石油換算 百万トン)
| 石油および 石油製品 |
天然ガス | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 国内生産 | 0 | 0 | 0 |
| 輸入 | 126.957 | 6.992 | 133.949 |
| 輸出 | -78.107 | 0 | -78.107 |
| 船舶・航空燃料供給 | -36.371 | 0 | -36.371 |
| 一次供給 | 12.479 | 6.992 | 19.471 |

図 シンガポールの一次エネルギー供給量 2008年

図 NExBTL法によるバイオディーゼル製造

図 世界最大級のバイオディーゼル工場を持つシンガポール
参考:
IEA(International Energy Agency)ホームページ:http://www.iea.org/
Neste Oil Corpホームページ:http://www.nesteoil.com/
他
- 航空機用バイオ燃料の規格が承認見込み
- 食品廃棄物からバイオ燃料の技術開発と事業化
- フィリピンの農産物バイオマス利用
- シンガポールで世界最大級のバイオディーゼル生産が間もなく開始


