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日本
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日本
第6章  
  原料/バイオ燃料に関する今後の課題  
    6.1 バイオマス・ニッポン総合戦略の目指すもの  
    エネルギーや製品としてバイオマスを総合的に最大限活用し、持続的に発展可能な社会「バイオ
マス・ニッポン」を実現するに当たっては、まず、国民に「バイオマス・ニッポン」の姿をイメージ していただくことが必要である。
以下では、現在進められているバイオマスの利活用に関する技術開発の成果や先進的な取組が全 国に普及し、さらに今後の技術開発の展開を見込んだ姿のイメージを示す。

国民一人ひとりの中に、私たちの身近にあるバイオマスは、資源として利活用されるものである との意識及び生活習慣が定着し、廃棄物系バイオマスの発生抑制が進む。バイオマスの生産・変換 においては、適正な窒素循環等の環境への配慮や付加価値の高い製品・エネルギーを作り出す取組、 段階的に製品やエネルギーに変換される取組が進み、生活の中にバイオマスの利活用が普及する。 家庭や外食産業、小売店舗などから出る生ごみは、再生利用しやすい形で分別して収集され、た い肥などに利用されたり、炭化又はメタンガス化されてエネルギーとして利用される。食品加工残 さ等のように性状の均一な資源がまとまって出されるものについては、飼料としての利用も進み、 食料自給率の向上にも資する。
下水汚泥や家畜排せつ物から作られるたい肥等の製品の品質の向上が図られ、需要側の使い勝手 の良いものとなる。エネルギーとしての利用も進み、産出される熱や電気は施設内だけでなく、近 隣の施設にも供給される。
建設発生木材は、製紙原料などの製品利用を優先的に進めるほか、製品利用できないものについ ては、発電用燃料としての利用、燃料用エタノール等の熱利用が進む。
稲わらは効率的に回収されることにより飼料としての利用が進み、粗飼料の自給率が100%にな ることに貢献するところとなる。また、農作物が食用だけでなく製品やエネルギーの原料として非 食用途に利用される。また、農業機械にもバイオマス由来燃料が利用されるほか、良質なたい肥の 安定的供給が図られ、耕畜連携が進むことにより、環境保全型農業が進むなど、農業生産現場の様 子が変わる。
間伐材を含む林地残材等は、その利活用が、健全で活力ある森林の育成につながり、地球温暖化 の防止や国土の保全、水源のかん養など森林の有する多面的機能の維持増進に資することについて の国民の理解が深まるとともに、生産・流通・加工の大幅なコストダウンによって、製品やエネル ギーとしての利活用が進む。
このようにして、廃棄物系バイオマス及び未利用バイオマスのほとんどが製品又はエネルギーと して最大限有効かつ体系的に利活用され、バイオマスタウンが全国的に構築される。また、有機性 廃棄物についてはゼロエミッション社会が実現する。
輸送用機械の動力源が多様化する中で、液体燃料としてはバイオエタノールやバイオディーゼル 燃料などの利活用が進む。各地において、様々なバイオマスを利用した発電及び熱利用が行われ、 自家需要や近隣の電力需要の一部を賄うなどのエネルギーの地産地消が実現する。バイオマスプラ スチックについては、環境への影響の少ないシステムが確立され、多くの製品に利用される。


6.2 バイオ燃料に関する課題・検討事項
(1) 技術面での課題
① 作物生産
国産バイオ燃料の大幅な生産拡大のためには、原料となるバイオマスを低コストで安定的に供給 することが必要である。国土面積の限られている我が国においては、耕地を最大限有効に活用する ことはもちろん、ゲノム情報等の活用により、糖質・でん粉質を多く含有し、バイオマス量の大き な資源作物の育成や、省力・低コスト栽培技術の開発を行う必要がある。
② 収集・運搬
稲わら、林地残材等の未利用バイオマスは、量的ポテンシャルも大きく、国産バイオ燃料の大幅 な生産拡大に向けた原料として期待できる。しかしながら、現状では、これら未利用バイオマスは、 収集・運搬コストが高いため、利用はほとんど進んでいない。このため、バイオマスの収集・運搬 に係る費用を低コスト化することが不可欠である。具体的には、木材生産の取組と連携した林地残 材の収集・運搬システム、効率的に収集する高性能林業機械の開発等を行う必要がある。
③ エタノール変換
バイオマスを原料として低コストでバイオエタノールを生産するためには、糖質・でん粉質原料 に加え、稲わら、林地残材等の未利用バイオマスや資源作物全体を原料として効率的にバイオエタ ノールを生産する必要がある。特に稲わら、林地残材等のセルロース系原料からのバイオエタノー ルの製造については、糖化・発酵阻害物質であるリグニンの効率的な除去やセルロースとヘミセル ロースを効率的に糖化・発酵する技術等の開発を進める必要がある。
また、発酵後、エタノールの濃縮、蒸留、脱水工程においては、膜透過・分離技術等を活用した エネルギー投入量の少ない技術の開発が必要である。
さらに、エタノールの変換工程において生じる廃液や製造過程の副生成物の利用・処理技術の開 発により、エタノール生産にかかるトータルコストについて低減していく必要がある。

(2) 制度面等での課題
① バイオ燃料混合率
ⅰ)バイオエタノールについて
我が国においては、揮発油等の品質の確保等に関する法律(昭和51年法律第88号。以下「品 確法」という。)により、市場に流通している既販車の自動車部品の安全性や排ガス性状の確保の 観点から、バイオエタノールをガソリンに3%まで混合することが可能である。バイオ燃料の利用 が進んでいる諸外国、例えばブラジルでは20~25%、アメリカではいくつかの州で10%の混合義 務化がなされている等、我が国よりも高い混合率での利用実績がある。
現在の国内の自動車メーカーで生産される新車のうち、バイオエタノール10%混合ガソリン(E10)までは対応可能なものもあるが、既販車については、買い換え、中古車市場からの退出等 に10年以上の期間を要することにかんがみ、バイオエタノールの供給安定性や経済性の確保等の 課題に留意して、2020年頃までを目途に、対応車の普及状況を勘案しつつ、既販車の安全性及び 排ガス性状を確認した上で品確法施行規則に定めるエタノールを含む含酸素化合物の混合上限規 定を見直すこととしている。

ⅱ)バイオディーゼル燃料について
バイオディーゼル燃料として広く利用されている脂肪酸メチルエステルについては、本年3月 より、現在市場に流通している既販車に対する安全性や排ガス性状の確保の観点から、軽油への混 合割合を5%以下とし、加えて必要な燃料性状に係る項目を、品確法の軽油規格に規定することと している。
我が国では、100%バイオディーゼル燃料が軽油引取税の対象となっていないことから、多くの 地域において、軽油引取税の対象となるバイオディーゼル燃料混合軽油と比較して価格競争力のあ る100%バイオディーゼル燃料を利用する取組が進められているが、粗悪な品質の燃料があること や、我が国で流通している自動車は、100%バイオディーゼル燃料の使用を前提として製造された ものではないこと等により、自動車に不具合が生じる場合がある。

② 製造、流通、貯蔵、利用
バイオ燃料の流通・利用時における大気汚染防止対策、また、E3の場合、品質を確保するため の水分混入防止等の対策の徹底が不可欠であり、製油所・油槽所・給油所等流通段階での必要な対 応及び対策の検討を進める必要がある。このため、宮古島や大都市圏等においてより大規模なE3 等実証事業を2007年度より進めている。
また、ETBEについては、化審法上の第二種監視化学物質との判定がなされたことを踏まえ、 現在、長期毒性試験や環境中に暴露した場合の影響調査等に基づくリスク評価を行っているところ である。さらに、漏えい対策等具体的な設備対応策の必要性の検討のため、2007年度よりETBE 混合ガソリンの流通実証事業を進めており、これらの結果を踏まえ導入が図られることとなる。
自動車側では、ガソリンへの混合率を高めた燃料を始めとしたバイオ燃料対応車の安全、環境上 の技術指針づくり等の対応を図る必要がある。国土交通省では、E10対応車の技術基準等の整備 に向け、現在検討を行っているところである。
経済産業省では、バイオ燃料利用拡大実現のための「土台作り」として、「消費者優先」、「安心・ 安全・公正」、「エネルギー保安向上」、「イノベーション重視」の4原則を元に、品質や徴税公平 性を確保するための新たな制度インフラの検討を行っているところである。

③ 税制措置を含めた多様な手法の検討
税制措置を含めた多様な手法について検討する。

(3) その他
① 国民に対する理解促進
国産バイオ燃料の利用は、国民生活に深く結びついており、国民それぞれが国産バイオ燃料の利 用の意義を認識し取り組んでいくことが重要である。このため、国産バイオ燃料の利用による効果 等について、国民の理解を得ることが重要である。国産バイオ燃料利用の具体的な実践は、農業、 食料、環境、エネルギー等幅広い分野の教育要素を有していることに留意し、将来を担う児童生徒 に向けた教育を充実することも重要である。
② ライフサイクル全体でのエネルギー効率、温室効果ガス削減効果の評価
バイオマスエネルギーは、カーボンニュートラル等の効果を有する一方で、バイオ燃料の生産過 程で使用するエネルギーや排出するCO2量が多くなれば負の効果が生じることも懸念される。こ のため、バイオ燃料の生産過程において、必要となる化石燃料や排出するCO2量は極力少なくす ることが重要である。ライフサイクルの視点から、エネルギー収支、CO2収支の評価を踏まえて 取組を進めることが必要である。なお、循環型社会構築の観点から、廃棄物系バイオマスについて は、バイオ燃料以外の利用の状況も踏まえつつ、廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用が適正に推
進されるよう留意する必要がある。
③ 飲料用・工業用を含むアルコール流通市場の混乱の防止
エタノールは、国内においては飲料用・工業用に利用が進んでいる。今後、燃料用として生産さ れたエタノールが、既存の飲料用・工業用に流入し、市場の混乱を招くことのないようにするべき である。



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