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第4章 |
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原料/バイオ燃料の技術情報 |
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4.1 技術基準(品質規格) |
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日本における自動車用燃料(ガソリンおよび軽油)にかかわる燃料品質
規格は、「揮発油等の品質
確保等に関する法律」(品確法)において規定されている。
4.1.1 バイオエタノールの品質規格
品確法が制定された1996年時点では、揮発油規格において、エタノール及びその他の含酸素化
合物(分子中に酸素原子を含む化合物)にかかわる規格値は規定されておらず、2003年8月に新
たに追加された。
日本における既存の自動車への安全性および排ガス性状確保の観点から、アルコールなど含酸素
化合物のガソリンへの混合許容値は、「エタノールについては混合率3体積%まで、含酸素化合物は
含酸素率1.3質量%まで」とされた。
表 4.1 品確法における揮発油規格
規格項目 |
規格値 |
○鉛 |
検出されない |
○硫黄分 |
0.001質量%以下 |
○MTBE |
7体積%以下 |
○含酸素率 |
1.3質量%以下 |
○ベンゼン |
1体積%以下 |
○灯油 |
4体積%以下 |
○メタノール |
検出されない |
○エタノール |
3体積%以下 |
○実在ガム |
5mg/100ml以下 |
○色 |
オレンジ色 |
| オクタン価 |
レギュラー |
89.0以上 |
| ハイオク |
96.0以上 |
密度 |
0.783g/cm3 |
| 留性状 |
10%留出温度 |
70℃以下 |
| 50%留出温度 |
75℃以上 110℃以下 |
| 90%留出温度 |
180℃以下 |
| 終点 |
220℃以下 |
| 残油量 |
2.0体積%以下 |
銅板腐食 |
1以下 |
蒸気圧 |
44kPa以上 78kPa以下 |
酸化安定度 |
240分以上 |
※ ○=強制規格項目
ガソリンに混合する事を前提としたエタノールの品質規格については、自動車業界、使用者団体、
アルコール業界および石油業界の合意の下に、社団法人自動車技術会の団体規格であるJASO規格
において、2006年10月に「自動車燃料-混合用エタノール」(JASO M 361)が制定されてい
る(表 4.2)。
表 4.2 「自動車用燃料-混合用エタノール」(JASO M 361)
項目 |
仕様 |
| 基準 |
試験法 |
| 外観 |
|
無色透明 |
目視 |
| アルコール分 |
vol% |
99.5%以上 |
JAAS001の6.2 |
| メタノール |
g/L |
4.0以下 |
JAAS001の6.4 |
| 水分 |
質量分率% |
0.70以下 |
JIS K 8101 |
| 有機不純物(メタノールを除く) |
g/L |
10以下 |
JAAS001の6.4 |
| 電気伝導度 |
μS/m |
500以下 |
JIS K 0130 |
| 蒸発残分 |
mg/100mL |
5.0以下 |
JAAS001の6.3 |
| 銅 |
ppm |
0.10以下 |
JIS K 0101の51.2 |
| 酸度(酢酸として) |
質量分率% |
0.0070以下 |
ISO 1388/2 |
| pHe |
|
7.0±1.0 |
6.10 |
| 硫黄分 |
ppm |
10以下 |
JIS K 2541-6,2541-7 |
4.1.2 ETBEの品質規格
ETBEにかかわるガソリンへの混合許容値については、品確法に規定する揮発油規格において規
定はされていないが、既存の「含酸素率1.3質量%まで」において規定され、それに相当するETBE
混合率は約8.3体積%である。
また、ETBEの品質規格については規格が制定されていない。
4.1.3 バイオディーゼル燃料の品質規格
品確法が制定された1996年当時では、軽油規格においてバイオディーゼル燃料などの非石油製
品にかかわる品質規制については規定されていなかったが、2007年3月より、脂肪酸メチルエス
テル(FAME、いわゆるバイオディーゼル燃料)にかかわる規格値が追加された。
規格項目、および規格値の検討については、自動車への安全性および排ガス性状確保の観点から、
排出ガス試験や排出ガス装置耐久性試験、蒸発ガス性能、ゴム・樹脂・金属部材への影響などにつ
いて検証試験を行い、その結果からFAMEの軽油への混合許容値を5質量%とし、必要な燃料性状
にかかわる項目が新たに定められた。(表 4.3)
表 4.3 軽油の強制規格項目(品確法)
規制項目 |
FAME混合軽油 |
FAMEを混合しない軽油 |
| 既存項目 |
硫黄分 |
0.001質量%以下 |
0.001質量%以下 |
セタン指数 |
45以上 |
45以上 |
90%流出温度 |
360℃以下 |
360℃以下 |
追加項目 |
脂肪酸メチルエステル(FAME)
含有量 |
5.0質量%以下 |
0.1質量%以下 |
トリグリセリド含有率 |
0.01質量%以下 |
0.01質量%以下 |
メタノール含有量 |
0.01質量%以下 |
― |
酸価 |
0.13以下 |
― |
ぎ酸、酢酸、プロピオン酸 |
合計が0.003質量%以下 |
―
|
酸価の増加 |
0.12以下 |
― |
また、軽油に混合することを前提としたニートFAME(軽油に混合する前の100%FAME)の品
質規格については、自動車業界、使用者団体、アルコール業界および石油業界の合意の下に、社団
法人自動車技術会の団体規格であるJASO規格において、2006年10月に「自動車燃料-混合用脂
肪酸メチルエステル(FAME)」(JASO M 360)が制定されている(表 4.4)。当該規格は、将
来的にJIS規格として標準化することを予定している。
表 4.4 「自動車用燃料-混合用脂肪酸メチルエステル(FAME)」(JASO M 360)
項目 |
仕様 |
基準 |
試験法 |
エステル含有量 |
質量分率% |
96.5以上 |
EN 14103 |
密度(15℃) |
g/ml |
0.86-0.90 |
JIS K 2249 |
動粘度(40℃) |
m㎡/s |
3.5-5.0 |
JIS K 2283 |
引火点 |
Deg.C |
120以上 |
JIS K 2265 |
硫黄分 |
ppm |
10以下 |
JIS K 2541-1,-2,-6or-7 |
10%残留炭素 |
質量分率% |
0.3以下 |
JIS K 2270 |
セタン価 |
|
51以上 |
JIS K 2280 |
硫酸灰分 |
|
0.02以下 |
JIS K 2272 |
水分 |
ppm |
500以下 |
JIS K 2275 |
固形不純物 |
ppm |
24以下 |
EN 12662 |
銅版腐食(50℃、3h) |
|
1以下 |
JIS K 2513 |
酸価 |
mgKOH/g |
0.5以下 |
JIS K 2501,JIS K 0070 |
酸化安定性 |
|
受渡当事者間の合意による |
ヨウ素価 |
gl/100g |
120以下 |
JIS K 0070 |
リノレン酸メチルエステル |
質量分率% |
12.0以下 |
EN 14103 |
メタノール含有量 |
質量分率% |
0.20以下 |
JIS K 2536,EN 14110 |
モノグリセライド |
質量分率% |
0.80以下 |
EN 14105 |
ジグリセライド |
質量分率% |
0.20以下 |
EN 14105 |
トリグリセライド |
質量分率% |
0.20以下 |
EN 14105 |
遊離グリセリン |
質量分率% |
0.02以下 |
EN 14105又はEN 14106 |
全グリセリン |
質量分率% |
0.25以下 |
EN 14105 |
金属(Na+K) |
ppm |
5以下 |
EN 14108及びEN 14109 |
金属(Ca+Mg) |
ppm |
5以下 |
prEN 14538 |
リン |
ppm |
10以下 |
EN 14107 |
流動点 |
Deg.C |
受渡当事者間の合意による |
CFPP |
Deg.C |
4.2 各種バイオ燃料の製造法
4.2.1 バイオエタノール
糖質あるいはでんぷん質が豊富な有機物から糖液を搾取し、これを嫌気性発酵させる。生産性を
上げるために研究開発が繰り返され、現在では数多くの発酵方法が存在する。
でんぷん質原料を用いる場合には、発酵の前に酵素(アミラーゼ)による糖化プロセスが必要と
なる。
また近年、従来は行われていなかったセルロース系原料からのエタノール製造の技術開発が国内
外において進められている。この場合にも、原料に含まれるセルロースやヘミセルロースを分解し
て糖に変換する糖化プロセスが必要であるが、その方法には、酸糖化法、酵素糖化法、亜臨界水法
等がある。
また、セルロース系原料からの発酵効率を上げるため、遺伝子組み換えによる発酵菌の開発も行
われている。
反応式(6炭糖の例)
C6H12O6 → 2C2H5OH + 2CO2
*国内実証プラントにおける製造事例
①沖縄県伊江島
アサヒビール(株)と(独)農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センターは、砂糖とエ
タノールを複合生産するプロセスを考案し、2006年より沖縄県伊江島において実証試験を行って
いる。
原料とする高バイオマス量サトウキビは、従来種より一株あたりの茎の数が極めて多く、株の再
生力も旺盛である。そのため、単位面積あたりで得られる糖の量が従来種より多くなり、砂糖生産
に影響を与えずにバイオエタノール製造が可能になる。また、燃焼エネルギー源として利用可能な
バガス(サトウキビの搾りかす)の生成量も従来種の3倍以上となり、砂糖とエタノールの生産
に必要な全エネルギーを賄うことができる。
プラントは製糖設備とエタノール製造設備からなる。高バイオマス量サトウキビから1回だけ
砂糖を結晶化した後の1番蜜を原料とし、水で希釈し全糖濃度を20~25%に調整した後、高発酵性
酵母を添加し発酵させる。1番蜜は廃糖蜜に比べて塩類の濃縮が少ないため、耐塩性酵母を用いる
必要がない。
②大阪府堺市
バイオエタノール・ジャパン関西(株)は、建設廃木材等から希硫酸による2段階糖化法と、さら
に遺伝子組み換え菌K011と酵母の2種類の菌体を用いてバイオエタノールの製造を行っている。
この遺伝子組み換え菌は、米国で開発され、丸紅(株)と月島機械(株)が日本へ導入したものである。
希硫酸による2段階糖化法では、まず、1次加水分解においてヘミセルロースから5炭糖を回収
し、中和後、遺伝子組み換え菌を用いて、通常の微生物では発酵できない5炭糖(キシロース等)の
エタノール発酵を行う。一方、1次加水分解の残渣は、希硫酸により再度加水分解し、残渣中のセ
ルロースから6単糖を回収、中和した後、酵母を用いてエタノール発酵を行う。
③岡山県真庭市
三井造船(株)と岡山県は、針葉樹端材の木材チップを主原料として、バイオエタノールを製造し
ている。
希硫酸およびセルロース分解酵素(セルラーゼ)によりヘミセルロース、セルロースを糖に変換
後、VTT(フィンランド)が開発した遺伝子組換え酵母によりC5糖、C6糖の同時発酵を行う。
精製したエタノールは、高機能なゼオライト膜により無水化される。
4.2.2 ETBE(エチルターシャリーブチルエーテル)
通常、エタノールとイソブテン(石油製造過程の副生物)を混合し、触媒上で反応蒸留すること
によって製造される。
日本では、体積量で8.3%(エタノール3%相当分)までのETBEをガソリンと混合することが
可能である。
4.2.3 バイオディーゼル燃料(BDF)
未使用植物油又は回収されて夾雑物を除いた廃食油原料の主成分である脂肪酸トリグリセリド
とメタノールをエステル交換反応させることにより、脂肪酸メチルエステル(バイオディーゼル燃
料)とグリセリンとに分解させる。様々な方法が開発されているが、アルカリ触媒法が最も一般的
である。
表 4.5バイオディーゼル燃料の主な精製方法4
精製方法 |
概要 |
触媒 |
長所 |
課題・注意点 |
アルカリ
触媒法 |
アルカリ触媒下でメタノール
のアルキル基と廃食用油(油
脂)のグリセリンをエステル交
換する |
水酸化カリウム
水酸化ナトリウム等 |
世界的に実績のある安定
した技術 |
・工程廃液がでる
・グリセリンに不純
物が多い |
酸触媒法 |
酸触媒により、遊離脂肪酸をメ
チルエステル化する |
硫酸
フッ酸等 |
遊離脂肪酸の多い廃食用
油の前処理として活用で
きる |
・製造工程が増える |
生物系
触媒法 |
樹脂に固定した酵素(リパー
ゼ)の酸化力によりエステル交
換を行う |
酵母菌体
酵素 |
・廃液が出ない
・グリセリンの純度が高
い |
・反応時間が遅い
・酵素が高コスト |
超臨界
メタノール法 |
油脂と、320℃以上、20MPa
以上の超臨界メタノールを混
合しエステル交換を行う |
不要 |
・触媒が不要
・反応時間が短い(4分)
・給排水設備が不要
・高融点油脂も処理可能 |
・小規模施設ではコ
スト高 |
固定触媒法 |
固定塩基触媒など固定触媒に
よりエステル交換を行う
|
酸化カルシウム
チタン酸バリウム
イオン交換樹脂等 |
・1対1反応によりメタ
ノール回収不要
・グリセリン純度が高い |
・触媒の耐久性
・触媒が高コスト |
4.2.4 BTL
バイオマスの改質により製造した合成ガス(CO、H2)からFischer-Tropsch合成により脂肪族
炭化水素を生産し、適宜分解、異性化して製造するのが一般的である。
バイオマスガス化プロセスとは、バイオマスを常圧もしくは加圧条件で空気もしくは酸素、水蒸
気等の存在下での熱分解(数百℃以上)によって合成ガスを得るものである。複製するタールやす
す、チャーの低減化、後処理がプロセス設計や運転コスト、運転管理に大きく影響する。
ガス化反応式 CxHyOz+O2+H2O→CO+CO2+H2+CaHb
FT合成反応式nCO+2nH2→-(CH2))n-+nH2O
4.2.5 第二世代バイオディーゼル燃料(水素化処理油(Bio Hydrofined Diesel:BHD))
油脂を高温高圧にて水素化精製もしくは分解後、必要に応じて異性化処理するものであり、パラ
フィン系炭化水素を主とする軽油留分が得られる。
4.2.6 植物油直燃料(SVO)
油脂(トリグリセリド)含有率の高い目的農業生産物(パーム、菜種、ひまわり、大豆、ココナツ
等)を栽培し、油脂を圧搾あるいは抽出により生産、夾雑物をろ過、精製して製造するのが一般的
である。油脂分の多いバイオマスからの生産時には、一般に粗砕後加熱圧搾する圧搾法が採用され
ている。一方、低油脂含有バイオマスからの生産時には、有機溶媒を用いた抽出法が一般に用いら
れている。
4.2.7 バイオメタノール
バイオマスの改質により製造した合成ガスから触媒反応により製造するのが一般的である。
反応式:CO+2H2→CH3OH
CO2+3H2→CH3OH+H2O
4.2.8 バイオブタノール
バイオブタノールの製造工程はエタノールと類似しており、使用する原料も同様であることから、
既存のエタノール生産設備を改造することでバイオブタノールを生産することができる。原料に含
まれる糖質をアセトン・ブタノール菌により嫌気性発酵させることにより、エタノール、ブタノー
ル、アセトンが得られる。
<脚注>
1 (独)農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター、プレスリリース
http://www.knaes.affrc.go.jp/press/20060131/jissyo.html
2 寺島ら、建設廃木材からのバイオエタノール製造、大成建設技術センター報 第38号、2005
3 三井造船(株)、木質系バイオエタノールの製造技術について、2006
4 宮崎県環境生活部、バイオディーゼル燃料ガイドブック、2006
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