第1次石油危機(1973)
(1) エネルギーの安定供給確保 石油危機によって石油供給不足の脅威を経験した我が国は、エネルギーの安定的な供給を確保することを国の将来を左右する最重要課題と位置づけ、極めて脆弱な我が国のエネルギー供給構造を改善するため所要の施策を行った。具体的には、 1) 石油依存度の低減と非石油エネルギーによるエネルギー源の多様化 2) 石油の安定供給の確保 3) 省エネルギーの推進 4) 新エネルギーの研究開発 の4点を掲げ、そのうち、中長期的課題である新エネルギーの研究開発については、1974年に、2000年を目途として数十年後における我が国のエネルギー需要の相当部分をまかなう新しいクリーンエネルギーを供給するための技術開発を目指した「サンシャイン計画」が発足した。 (2) 電源開発と電源三法 電力需要は、高度経済成長期には年平均10%を超える旺盛な増加を続け、増大し続ける需要に対応するための電源開発の促進が重要課題であった。一方、発電所等の建設が安全性や公害に対 する不安から、地元住民の反対にあって難航することが多くなってきた。このため、発電所等の建設による安全性や公害に対する不安を取り除く努力を続けるとともに、発電所等の立地を受け入れる地域の福祉向上を図ることが重要となったため、1974年に「発電用施設周辺地域整備法」、「電源開発促進税 法」、「電源開発促進対策特別会計法」の、いわゆる電源三法が成立したことを受け、これらに基づく電源立地促進対策交付金等により、種々の施策が講じられるようになった。これにより、原子力発電所の立地が大きく進展することとなり、我が国の石油依存度引き下げに大きく寄与した。
(1) 新エネルギーに関する政策 国内外のエネルギーを巡る経済的・社会的環境の変化に伴い、石油代替エネルギーのうち、経済性における制約から普及が十分でなく、石油代替エネルギー供給目標の達成のために促進を図ることが特に必要な新エネルギーの普及促進を目的として、1997年に「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」(新エネ法)が制定された。 新エネルギー法は、国や地方公共団体、事業者、国民等の各主体の役割を明確化する基本方針の策定や新エネルギー利用等を行う事業者に対する金融上の支援措置等を定めたものである。 また、2002年6月、電気事業者に 対して一定量以上の新エネルギー等を利用して得られる電気の利用を 義務付ける「電気事業者による 新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS法)が公布され、2003年4月に全面施行された。 2005年3月に総合資源エネルギー調査会需給部会において「2030年のエネルギー需給展望」を取りまとめた。この中で、2010年度における供給サイドの新エネルギー導入見通しは、当時の地球温暖化対策推進大綱に掲げる施策の着実な実施と熱分野を中心とする追加対策を行った場合(追加対策ケース)には、原油換算で1,910万kL(一次エネルギー総供給に占める割合は3%程度)と設定した(表 2.2)。
(a) エネルギー政策基本法 我が国におけるエネルギー政策の基本的な方針を定めたのが、2002年6月に制定されたエネルギー政策基本法である。同法においては、「安定供給の確保」、「環境への適合」及びこれらを十分考慮した上での「市場原理の活用」という3つのエネルギー政策の基本的な方針が示された。また、2003年10月には、同法に基づき、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るため、エネルギー基本計画が閣議決定・国会報告され、政府は、本基本計画に基づき、エネルギー政策を推進することとなった。
(b) 新・国家エネルギー戦略 こうした中、最近の世界におけるエネルギーをめぐる情勢変化を踏まえ、経済産業省においては、2006年5月、エネルギー安全保障を軸とし、2030年に向けて特に重要な施策プログラムを盛り込んだ新・国家エネルギー戦略を策定した。本戦略においては、官民あげて軸のぶれない取組を行うに当たり、官民が共有すべき長期的な方向性として、次の5つの数値目標を設定している。 1) 省エネルギー目標:2030年までに更に少なくとも30%の効率改善を目指す。 2) 石油依存度低減目標:2030年までに、40%を下回る水準を目指す。 3) 運輸部門における石油依存度低減目標:2030年までに、80%程度とすることを目指す(アクションプランの一つとして「バイオ由来燃料やGTL等新燃料の導入促進」を提示)。 4) 原子力発電目標:2030年以降においても、発電電力量に占める原子力発電の比率を30~40%程度以上にすることを目指す。 5) 海外での資源開発目標:2030年までに40%程度を目指す。
(c) エネルギー基本計画の改定 エネルギー基本計画は、今後10年程度を見通して、我が国のエネルギー政策の基本的な方向性を示すものであるが、世界的なエネルギー需給の逼迫傾向、地球温暖化問題をめぐる国際的な動きの活発化等、最近のグローバルなエネルギーをめぐる情勢変化を踏まえて改定し、2007年3月9日に閣議決定・国会報告された。 改定されたエネルギー基本計画では、エネルギー安全保障の確立、地球温暖化問題への対応等の観点から、以下のような政策の方向性を提示している。 1) 核燃料サイクルを含む原子力発電の推進と新エネルギーの着実な導入拡大 2) 石油等の安定供給確保に向けた戦略的・総合的な取組の強化 3) 省エネルギー政策の強化と地球温暖化問題についての実効ある国際的枠組み作りの主導 4) 技術によるエネルギー・環境制約のブレークスルー(技術力の強化とその戦略的活用) 今後、本計画に則り、政府一体となってエネルギー政策に取り組んでいくことになる。
(1) バイオマス・ニッポン総合戦略1 初めて燃料用としてのバイオエタノール生産・普及の推進が政府の計画として発表されたのは「バイオマス・ニッポン総合戦略」である。バイオマスを中心とした環境保全や資源循環を促進するため、農林水産省が中心となり今後のバイオマスの利活用促進のための国家戦略として関係省とともに検討を開始し2002年12月に閣議決定された。 同戦略では、バイオエタノールについては「バイオマス由来の自動車燃料に円滑な導入に向け幅広い意見を踏まえながら、関係府省が一体となって規格化、供給体制の整備の導入スケジュールを検討するため、その前提として、バイオマス由来の自動車燃料導入のメリット・デメリットについて、日本の事情も踏まえて適切な評価を行う。」こととしており、具体的には「バイオマス由来の自動車燃料の安全性確認、品質評価を行うため、一定の利用システムの実証等を行う」ことが明記された。 2006年3月に、バイオマスの利活用の現状と課題の検証を踏まえて、2002年の総合戦略を大幅に改訂した新たなバイオマス・ニッポン総合戦略が策定され、今後の国家方針として閣議決定された。新しい総合戦略の見直しのポイントの一つとして、バイオマス輸送用燃料の利用の促進が挙げられている。
<バイオマス輸送用燃料の利用の促進> ○国が導入スケジュールを示し、利用に必要な環境を整備 ① 利用設備導入に係る支援 ② 利用状況等を踏まえ、海外諸国の動向も参考としつつ、多様な手法の検討 ○特に、国産バイオマス輸送用燃料の利用促進 ① 関係省庁連携による利用実例の創出 ② 原料農産物等の安価な調達手法の導入や関係者の協力体制の整備 ③ 低コスト高効率な生産技術の開発 (高バイオマス量農作物、木質系からのエタノールなど) (2) 国産バイオ燃料の大幅な生産拡大2 バイオマス・ニッポン総合戦略に基づくバイオマス輸送用燃料の利用の促進を実施する中で、日本における国産バイオ燃料の生産拡大に向けた課題を整理するとともに、大幅な生産拡大を図るシナリオを取りまとめた報告書が2007年2月27日に総理大臣に提出された。その中で、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大のための工程表を作成し、国産バイオ燃料の生産目標を打ち出している。
(b)バイオ燃料生産拡大のための工程表 今後の技術開発の可能性等を踏まえた工程表は、下図のとおりとなり、概ね、次のように原料作物等の範囲が拡大していくと見込まれる。 ①現時点で利用可能な作物等 ・原料を安価に調達できる規格外農産物やさとうきび糖みつ等農産物の副産物 ・廃棄物処理費用を徴収しつつ原料として調達できる建設発生木材 等 ②今後5年間で技術開発する作物等 ・稲わら等の草本類 ・製材工場等残材 等 ③今後10年間で技術開発する作物等 ・原料の収集・運搬コストが必要となる林地残材 ・資源作物(ゲノム情報を利用した多収品種)